2017年2月5日日曜日

ネイメイヘンの床版歩道橋


ネイメイヘンの床版歩道橋 (De Lentloper, Nijmegen, 30+52+56+52+30m, 2015)

設計はローラン・ネイ(NEY & PARTNERS)
ネイメイヘンのワール川の中州に架かる出来たばかりの歩道橋です。

到着したとたんに、向こうから、三人ビキニの女性の自転車が。
一瞬何が起こったか目を疑いましたが、この辺の河川敷は、ビーチになっていて、手前には売店のワゴンも出ていました。
下の写真では欄干から子供が川に飛び込んで遊んでいます。
すでに公園の遊具のようになっています。愛着をもって使われているのは見ていてうれしいです。

奇抜なデザインにもかかわらず、すっかり周辺に溶け込んだ印象を与えているのは、護岸上の歩道の煉瓦が橋にも使われていること、橋の上には車両防護柵も照明柱もないシンプルな橋上への配慮も影響していると思われます。
橋は変わった構造です。
中央部分と外側の歩道部分に段差があり、その外側の歩道が浅い吊り床版形になっているので、このスラブにPCが入っているのでしょう。ネイのHPではオメガshapeと呼んでいます。

内と外の歩道のライズ差が大きければ、上の段がアーチとなるレンズトラスですが、アーチ軸力を期待するほどのライズではありませんので、中央で桁高を稼ぐための段差と考えられます。


コンクリート表面は建築並に綺麗で、水面が反射するくらいの滑らかさに仕上げられています。
下の隣接橋の施工写真を見ると、型枠に樹脂塗料が塗られている様子はなく、木目が綺麗に出ているので、オランダ流の型枠表面処理があるようです。

ネイというと、軽やかな鋼橋のイメージでしたが、この街では、この橋と下流のアーチ橋De Oversteekのアプローチ部と、コンクリートの表面処理にこだわった2橋を見ることが出来ます。

隣の橋。400m上流の道路橋(Waalbrug Extension Bridge Lc=52-79m)

この橋の形状も単純だけど橋としてはあり得ない三次元曲面を持っています。
フランクゲーリーの建築のように、設計図面を元にした施工(型枠製作)が容易となるシステムが構築されているのだろうと想像します。
この橋が美しいかというとちょっとうなずけないところはありますが、工事の中で、安易な直線化、形状の簡素化が、事業費低減のため(場合によっては施工者が自らの利益を出すため。)の設計の能力の見せ所と正当化されるような考え方は、実は施工を知れば知るほど設計者にも染みついていたりします。
発注、設計、施工の三者が、率直な相互理解、おそらくこれが美しい構造物を作る最も力のいる作業と思います。目的を見据えて上手く協働していかないといけないですね。
写真は海外のサイトから拝借しました。リンク元

この曲面橋の歩道。オランダの自転車道は本当に気持ちよく作られてます。

De Lentloperの場所は、ネイメイヘンでワール川を渡る鉄道橋の東隣です。川の土手に車を止めて見学しました。水浴びの人たちが同様に縦列駐車しています。
鉄道を越えた1.4km下流には、同じNEY & PARTNERSの巨大な285mのアーチ橋があります。

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